個人事業主は、何より会社などの拘束が少なく、自分自身で決めて行動することができる自由が、大きなメリットです。しかしその反面、公私共にすべての責任が自分自身にあり、適正なリスクマネジメントを含むファイナンシャル・プランニングを行わなければ、ちょっとしたきっかけを機にすべてを失うような事にもなりかねません。
と言うことで、個人事業主のファイナンシャル・プランニングの相談を受けると多くの個人事業主、特に40歳前の比較的若い経営者に多く見られる特徴があります。
それは、現在、経営されている仕事に関わる保険、並びに資金繰りについては、比較的健全な内容となっていて、とても感心させられる点です。満点とはいえなくても、その年代の経営者のほとんどが経営について、高いリスクマネジメントの意識を伺うことができます。
これは、インターネットからの情報を上手く利用しているものと思われ、IT分野の業種以外の業種の経営者においても、情報集めや経営に欠かせないツールとなっています。
ところが、その反面といえるのが、自身や配偶者を含めた個人の保障面がとてもバランス悪く、その内容に不安を感じます。
具体的にみて見ると、万一の際に対する現時点での死亡保障や医療保障などについては、生保のライフプランナーが今では当たり前とする手法により、構成されていて抜け穴は無い様に思われます。
しかし、多くの経営者が引退後のお金の事を現段階で具体的に設計している人がとても少ないことです。
個人経営の場合、一般的なサラリーマンの同年代の家庭と比べて少し良い暮らしをされている事がほとんどです。公的な保障がほとんど無く、すべて自身の責任で活動し生活しているわけですから、少しくらい良い生活水準、良いクルマに乗るなどは良いことだと思います。ファイナンシャル・プランナーの立場からも反対は致しません。
しかし、引退後の内容があまりにも陳腐な状況では、配偶者への配慮も含めてもう少し、確実性の高い対処方法を考えて備える事が必要と考えます。
先日、2014年2月16日の日本経済新聞でも掲載された、国民年金基金の保険料値上げについての記事にて、具体的には加入年齢などにより差はありますが40歳の男性で7%程度、予定利回りも1.75%から1.50%に引き下げの認可申請を厚生労働省にするそうです。
いきなり、消費税増税の時を同じくしてこうした年金保険料の引き上げのニュースなのですが、意外と若い経営者がこうした確実な引退後の生活に対する年金基金などを利用した引退後の老後の生活に対して投資を行えていないことが見受けられます。
つまり、65歳から70歳といった年齢の生活設計がうやむやに成っているのです。
国民年金基金は、こうした自営業主の老後生活を支える上乗せ年金で通常の国民年金(老齢基礎年金)にプラスして支払われる、言うなれば自営業者向きの厚生年金の様なものです。加入も無理なく支払い設計ができるように口数で加入ができます。
もちろん若いうちからの加入の方が支払期間も長くなるので受け取れる年金額も有利になります。年金支給開始前でも万一死亡した場合は、遺族が一時金を受け取れるので掛け捨てにならず、生命保険などの設計の基礎的な保障として算入できるので無駄に成りません。(加入タイプにより一時金の無い契約もあります)
世界でも最も長寿の日本ですが、今後は、生活や医療介護費など自己負担の増える傾向にありますから、せめて、平均的な給与所得者水準の年金は、老後資金として作っておくようにしておきましょう。