金融業界の期待を集めて2014年1月か
ら導入された「NISA(ニーサ)」は、英国で成功した個人貯蓄口座(ISA)の制度です。この制度を日本の金融事情に置き換えて導入し、投資関連商品を一般個人消費者がより身近に感じ、利用すること即すために作られた少額投資の非課税制度です。
対象となる投信商品なども豊富で、一般個人投資家や今まで投資を敬遠していた多くの消費者の注目を集め、2014年3月現在も多くの口座開設がされています。
多くの個人事業主の人も、アベノミクスによる景気回復の社会的な風潮と、金融機関の少し過剰な広告による宣伝効果や勧誘と相まって、NISA口座開設を検討する人が多いそうです。NISAを利用する目的を聞いてみると、多くの自営業主は「老後などの資金が心配なので将来の蓄えに」と言う動機の声が聞かれます。
しかし、よく考えてみると個人事業主の人には、老後の資金対策などに向けた税制面でも圧倒的な優遇措置をされた上乗せ年金など、有利に資産形成する制度があります。
少し冷静に考えていただきたいのは、会社員の厚生年金に相当する、国民年金基金を始め、退職金代わりに積み立てる、小規模企業共済や個人型確定拠出年金の方が、現在税制面でも有利に設定されているということです
ちょっとした流行現象にもなっている「NISA」は、5年10年15年とするような期間投資と資産形成に優れた効果を発揮することは、間違いないでしょう。しかし、長期間の特に老後の年金などの資産形成には、個人型確定拠出年金の方がランニングコストも安く済むため間違いなく向いているようです。
今回は、老後資金の蓄えを考えている個人事業主にも可能な「個人型確定拠出年金」を税制面のメリットを中心に考察してみます。
「個人型確定拠出年金」を個人事業主の人が利用する場合の最も有利なポイントは、積立をする拠出額の全額を所得控除することです。毎月最大の掛け金の68,000円(※1)の12ヶ月分、816,000円が一年の控除対象と成り、所得税と住民税の両方に60歳までの積立期間中に適用されます。
例を挙げると、35歳から60歳まで25年間で2千万円を積み立てることができて、その運用による得た収益は非課税です。しかも、年金受取なら公的年金の控除が、そして一括で受け取るなら退職所得として控除することが可能になります。一般に売られている個人年金などや投信商品の契約前に、税制上も有利な方法で老後資金の基礎を固めておきましょう。
※1:国民年金基金、並びに国民年金の付加保険料と合計で毎月68,000円までとなります。